本研究会の設立趣旨
鉄道における、レールと車輪の接触問題については、その重要性にもかかわらず、学問的には土木工学と機械工学、トライボロジーの境界領域に位置し、鉄道事業者においては施設と車両、メーカーにおいてもレールメーカーと車輪メーカーに別れるなど、統一的、総合的な見地からの議論が少ない状況にあります。
従来、土木学会、日本機械学会、電気学会が共催する鉄道技術連合シンポジウム(J-Rail)や、各学会の研究会において議論する機会はありましたが、わが国における本格的なこの分野の学術的な活動は、関係者が一同に会し、協力体制の基に運営、開催した国際会議(第5回レール・車輪の接触力学と摩耗に関する国際会議;通称CM2000)が初めての機会であったと考えられます。
CM2000国際会議は、東京大学生産技術研究所が主催、日本機械学会、土木学会の共催、運輸省(当時)が後援という枠組みでしたが、国内組織委員会、幹事会は、鉄道事業者、メーカー、大学・研究所における土木、機械双方からメンバーが集まり、交流の場としての機能もありました。
現在この分野の研究開発の重要性は一層高まっていることは周知の事実です。例えば、車輪とレールの接触問題、踏面形状やレール形状、車輪研削やレール削正、摩擦特性の正確な把握、緩和曲線の線形や軌道管理手法、軌道条件を考慮した台車の設計手法、などの検討は、上記の連携があってこそ克服される課題といえるでしょう。
以上の背景から、本研究会は2003年10月に設立され、今般会員の募集を開始するに至りました。。
研究会概要
(1) 名称は「レール・車輪接触力学研究会」 (The Japanese Society for Contact Mechanics and
Wear of Rail/Wheel Systems; JSCMR)とする。
(2) 鉄道関係従事者を中心に一般の研究者に開かれた研究会を目指す。
(3) 以下の活動を行う
・ 研究者、技術者の交流の場として、研究会を年に2回程度実施する
・ 研究会では、話題提供、情報交換を実施する
・ メインテーマを定めてそれについての研究協力・調査・情報交換を実施する
・ 今後の「レール/車輪の接触力学と摩耗に関する国際会議」へ協力する
・ 見学会や学術講演会の企画をする
・ 既存の学術講演会(例えばJ-Railなど)へオーガナイズドセッション企画などで協力する
・ 年度末には、研究会の活動報告書を作成する
(4)当面は入会金、ならびにイベントごとの参加費(資料代)により会を運営する。
(5)メイン活動テーマ
・ 軌道と車両の相互作用に伴う諸問題
・ レール断面形状と車輪頭頂面形状の最適化
・ レールの削正、車輪の転削手法
・ 波状摩耗
・ レール・車輪間の摩擦制御手法
・ レール・車輪材料
・ 転がり騒音問題
・ 転がり疲労問題
など